未来の他者
数日前の新聞に「20世紀末と比べて、僕らは社会に対して希望や理想を持てるようになったということはない。僕らは既に破局の中にいる」という内容のインタビューの一部が載っており、それは「虚構の時代の果て」などの著者で社会学者の大澤真幸さんの言葉でした。
続きには、「その破局を回避するキーワードは未来の他者だ」とあり、「自分たちが生きている間だけ何とかなればいいという考えではなく、まだ生まれていない人を含む、未来の世代への想像力が重要だ」と結んでいました。
私は、その結びの言葉で思い出したことがあります。
(2024年)5月中旬、札幌市身体障害者福祉センターで、利用者さんがリハビリをしている時間、保護者の方たちとお話しをしました。
昨年(2023年)11月、電話でお話しを聞いて「雪が解けたら、お会いしましょう」との約束が実現したものです。このセンターに通わせたくて道外から親子で引っ越して来られた方や、脳卒中の後遺症のためリハビリに通う方など、長く利用している方が多い施設です。
施設改修後、リハビリに効果のある訓練器具がなくなったため困っている様子も伺い、次は「私たちのリハビリには、〇〇が必要」ということを整理し、配置の要望を出す準備をすることになりました。
「誰でも、障がい者になる可能性はあるので、これから利用する人たちのためにも施設の充実が必要と思う」と言う方、「そうなの」と共感する皆さんの会話に、感動したことを思い出したのでした。