2021年10月6日 決算特別委員会

太田委員

2020年度決算について質問します。コロナの中で本当に弱っている家計とか事業所とか、そういうところに体力がついてこその税金が納められると、それが大事だという視点で、私は質問します。
一般会計の決算、歳入決算の概要を見ますと、国支出金が昨年度比102.1%増、約2倍ちょっとになっています。これには国の補正で組まれた新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金230億円、そして特別定額給付金1972億円などが含まれています。
臨時交付金等協力要請推進分は、国庫支出金として一般会計に入り、臨時交付金の使い道は自由度が高く、国の事業の上乗せや自治体の事業に使えます。例えば、本市でも、学校における感染症対策備品購入などは、もともと国の補助が50%あり、市が50%出していましたけれども、本市分の50%にこの交付金を使っています。
財政調整基金の支障分を基金に積み戻しても翌年度に繰り越しをしても良いとされています。本市の230億円は、令和2年度、国が3度の補正予算で計上したうちの通常の1次と2次の2回分であり、3次補正分は令和3年度に繰り越されています。
そこで伺いますが、令和2年度の臨時交付金から令和3年度に繰り越した金額と、令和2年度で使わずに繰り越した理由を伺います。

担当部長

令和2年度からの繰越事業費のうち、新型コロナウイルス感染症への対応分として繰り越しました事業費が264億円ございましてその財源として計上しました新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の金額は、97億円となってございます。
そのうち31億円についてでは、休業要請等に応じる飲食店等に対しまして協力支援金を支給します飲食店等感染防止対策協力支援費に充当しまして、残り66億円はその他のこの対策関連事業費に充当するものでございます。
またあの繰り越しの主な要因でございますけれども国の予算措置が年度末となりましたことや、あるいは市内宿泊促進キャンペーン費などのように感染状況を踏まえて事業の実施時期を判断する必要がありまして、令和3年度に実施を先送りしたということによるものでございます。

太田委員

臨時議会などで財政調整基金を取り崩すことと、臨時交付金から基金に積み戻すなど報告を受けてきましたけれども、決算では、財政調整基金からとりくずし支消を予定していた合計102億円はその全額を取りやめています。
さらに、実質収支118億円から60億円を、積み立てましたので、令和2年度末財政調整基金は319億円となりました。ここで伺います決算の概要には、予算の執行状況を勘案し、予定していた財政調整基金の支消を全額取りやめたとありますが、この予算の執行状況について具体的にお聞きします。

答弁

令和2年度決算におきましては、予算計上した財政調整基金の取り崩しを行うことなく実質収支が1018億円となったところでございます。予算から収支が好転しました要因ですけれども、まず一つ目としましては、歳入が予算を上回ったということによるものでありまして、市税と地方消費税交付金、これらの減収幅が想定を下回ったということによりまして、市税では11億円、地方消費税交付金については10億円予算よりも増となりましたほか地方交付交付税についても、見込みを上回ったことによりまして5億円の増となったところでございます。
二つ目としましては新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う歳出の減少によるものでございまして、主なものとしましては市民の外出自粛に伴う福祉サービスの利用減が55億円。また中小企業金融対策資金の利用、こちらも想定を下回ったことによる歳出の減が28億円、こういったものがございます。
またその他の要因としましては、少雪による除雪減が11億、私立保育所運営費も見込みとの差が生じたということで14億円の減等が要因となってございます。

太田委員

決算の全体で増えたものもあったり減ったものもあったりして、結果基金は取り崩さなくてもよかったということです。今伺っていて、その雪が少なかったことで、札幌市としては11億円の支出が予定していたよりも減ったと。
裏返しますと雪が少ないことで除雪の業者さんは収入が減って、非常に困っているというお話も聞きました。それから、福祉サービスの利用が減って55億円ほどというお話でしたけれども、介護事業所は、その利用者さんがサービスの利用を控えることで減収になっていたと。まさに表裏一体といいますか、そういう状況であります。
コロナで生活や営業が大変な年ですから、いつもの決算と同じでいいのかと思うんです。といいますのは、使う予定だった基金は使わないで済んだではなくて、本市独自の事業に活用できたんではないか、なぜそのような対応にならなかったのかと思います。我が党のこのたびの代表質問で、国や道が行う支援策に上積みをするなど独自支援に踏み出すべきと求めたところ、市長は協力支援金や減収補てんは全国的な課題で、国において総合的に検討対応すべきもの、国に要望していると答弁されました。独自支援策は考えていないということだと私は受け取りました。国に要望することはもちろんとても大事なことです。しかし、要望だけでは現時点では事態は悪化していく一方で、市民の暮らしは待ってはくれません。
暮らし向上のための自治体の役割を国の次ですとか、後回しにしては駄目だと思うんです。ウイルス感染症は、感染症学の世界では災害とみなす考えが半ば常識とされています。災害としてのウイルス感染症への対応は、国にはWHOとの連携など外交的対応と医療ワクチンなどに最終責任を負うこと、そして地方自治体のコロナ対策を行財政面から、保障する役割があります。
同時に、同じコロナ感染が全国で広まったとしても感染するのは1人1人の住民ですし、発生する場所は地域ですから、例えば札幌などは三次産業が多い、サービス業が多い等特徴などがありますので、地域に合った支援で解決する主体は市町村にしかありません。
国の事業を実施するだけの役割ではなく、地方にとって必要なことを地方自らが決めて実行する役割です。災害の場合とみなすと災害時だけの政策対応ではなくて、その後のケアや生活、営業再建をどうするかという、事後対応が重要になります。
しかも、どんな災害を見ても、社会的弱者ほど被害は深刻ですから国の事業なども、市民にとって効果の高い事業だったのか、十分だったのか、常に検証をして使えたお金は、本市として使うべきでした。
感染対策を緩めることなく、経済の回復を目指しながら、地域の実情や市民のニーズに合った事業を補正予算を組んででも行うべきです。
昨年行ったプレミアム付商品券は1万円で購入すると1万2000円分買い物ができる商品券でした。しかしその1万円が家計から出せない、買いに行けなかったなど、また大手の商業施設やコンビニなどで利用することが多くて、地域の商店にはなかなかその利用は少ないと、そういう意見もありました。
ですから、効果は一部にとどまったと思っています。求められているのは、例えば商品券ならば、金額が大きくなくても、購入不要の商品券を配布する。そして、問題になっている生理の貧困コロナでもっと貧困になっていますから、生理用品の無料引換券を配布して、自分の体に合った商品を選んでもらうなど、このように苦しんでいるその思いに届く事業が必要ではないかと思います。
大学や専門学校が多い本市には、バイト収入や親の収入が減って食べることもままならない若者がいます。学業の継続困難に直面する学生が急増していることは周知の事実です。民間のフードバンクなどが支援を続けていますけれども、民間任せではなくて、本市がもっと支援をしなくていいでしょうか。上下水道料金、公営住宅の家賃、給食費などの減免、これらは臨時交付金の活用可能な事業です。
せめておうち時間が増えて、水道料金が増えた分やお店を休まざるを得なかった間の水道の基本料金、学校給食費の半減、1000円でも2000円でも減額されるととても嬉しいのではないでしょうか。コロナから経済が回復するまでと、そういう期限がついてでもやるべきだと思うんです。
令和3年度に繰り越した新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金66億円、予定していた支消を取りやめた財政調整基金102億円は本来、令和2年度に使えたものです。ここで伺います。財政調整基金を可能な限り取り崩して財政局から各部局に積極的に働きかけ、市民の生活を応援する、必要な人に届く事業を展開すべきと思いますが、いかがか伺います。

答弁

財政調整基金につきましては、令和3年度の当初予算およびこれまでの補正予算におきまして、既に合計で92億円の取り崩しを計上しておりまして令和3年度末の残高の見込みは227億円となってございますほか、また中期財政フレームにおけます試算では、令和4年度には83億円の取り崩しが必要といった見通しが既にございますので、また加えまして大雪などを今後の対応にも備えておく必要があると、いった状況がございます。これまでにも新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市民や事業者などに対しましては財政局といたしましても関係部局と十分な連携を図りながら、令和2年度には16回、そしてこの年度ここまで14回の補正予算を計上してございまして、これまで最大限の支援を行ってきたところでございます。今後につきましても、国や北海道と歩調を合わせながら、必要な支援について検討してまいりたいと考えてございます。

太田委員

令和4年にも取り崩す必要の見通しがあるんだということでしたけれども、令和2年に使うことができたのは使わずにその令和3年に繰り越し基金に残ったりしたんですね、令和4年に使うから使えないというお話だったかと思いますけれども、アクションプランでも100億はちゃんと確保しておこうと言っている中での、例えば227億の中から令和4年に83億引いたとしても144億ですかね、残ることになります。
財政赤字を恐れて財政出動を抑制すれば経済全体が衰退します。今言ってる話は赤字になる話ではありませんし、昨年度、基金を102億支消していたら、今伺ったお金の話にはならないわけで、違う計画になったはずです。
必要な対策を迅速かつ積極的に講じることはぜひやっていただきたいと思います。今、予断はまだまだ許されませんけれども、感染者数が減ってきた今こそが正念場です。国や北海道からの交付金の範囲での事業ではなくて、独自の支援に踏み出し、経済の基盤である家計を支えるべきです。
来年度予算に向かい、各部局からの予算要求の時期でもありますから、財政局の考えを伺いますが、今最も求められている新型コロナ対策、生活経済再建などの必要な分野に思い切った財源の支出が必要だと思いますが、いかがか伺います。

答弁

例えば従前から国が実施してきたような、一律的な事業者支援や生活支援のための事業といったものについては、これは札幌市に限らず全国的な課題でございますので必要に応じて今後も国において実施されるべきと考えてございます。
これまでもやってきておりますけれども、今後も必要な要望を国に対して行っていきたいと考えておりますとともに、引き続き、国あるいは北海道との役割分担といったことも踏まえながら新型コロナウイルス感染症の影響を受けます市民の皆様や事業者の皆様にもしっかりと配慮した財政運営を行ってまいりたいと考えてございます。

太田委員

国との役割分担を踏まえながらというお話ですけれども、その場合も、国や道の判断を待つのではなくて自治体としての役割を積極的に発揮していただきたいということを今日の質問で言ってきたわけです。
コロナは国への全国の課題であるということは市長の代表質問での答弁にもありましたけれども、自治体としての役割もあるんだということも先ほど訴えました。政府のコロナ対策が不十分だから、国にももっと使い勝手のいいものにしてもらいたいもっとお金を出してほしいということを、札幌市も要求しているんだと、そういうことでありますから、コロナ対策は不十分だと本市も認識しているということでしょう。市民の健康と生活営業守るため、自治体の真価が今問われています。住民の実情やニーズを把握して、市民にとって効果の高い事業を行う、そのような視点で財政調整基金やもっと言えば、減債基金などもありまして、これは任意積立金分など使えるはずですから、可能な限り基金の取り崩しを検討するなど、本市独自の支援策を早急に行うよう求めて私の質問を終わります。